
短大・専門卒の看護師 | 「学士号」の取得方法を解説
日本の看護師が海外で働くには、「学士号」が必要になることが多くあります。
そのため、日本で短大や専門学校を卒業した看護師は、あらためて学士号を取得する必要があります。
取得方法は主に2つです:
- 日本の通信課程で学士を取得する
- 海外の大学に編入して学士を取得する
この記事では、この2つの方法について、分かりやすく解説していきます。
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通信課程で学士号を取得
一つ目の方法は、日本の通信課程で学士号を取得するというものです。一年程度のコースで、必要な単位を補うことができます。
代表的な大学には、
- 武蔵野大学
- 放送大学
などがあります。
メリットは、何といっても学費の安さです。年間20〜30万円程度で学士号の取得が可能です。また、日本にいなくても受講できるため、仕事や生活を優先しやすいのも大きな利点です。
一方のデメリットは、取得した学士号が「看護学士(BSc)と同等とみなされるかが不確実」な点です。アメリカやカナダではほとんど問題ありませんが、オーストラリアやニュージーランドでは、過去に拒否された事例もあります。
ただし、直近で私がサポートした3名の方は、「日本での短大卒+オンライン学士」で現地看護局の審査を通過し、看護師登録まで進まれました。審査官によって追加説明を求められる場合もあるようですが、丁寧に対応すればクリアできるようです。
また、X(旧Twitter)上でも、「オンライン学士でオーストラリアの看護登録ができた」といった情報が複数見られます。近年は、以前よりもスムーズに登録できる傾向にあると捉えて良さそうです。
なお、オーストラリアとニュージーランド間には看護師免許の互換性があります。そのため、どちらかで拒否された場合でも、もう一方の国で登録を試みるのはリスクヘッジとして有効です。
海外大学に編入して学士号を取得
二つ目の方法は、海外の大学に編入し、現地で学士号を取得するというものです。ただし、国によって制度が異なるため、事前に確認が必要です。
以下は、主要国の編入制度と英語要件の比較です。
国 | 編入しやすさ | 入学の英語要件 | コメント |
---|---|---|---|
オーストラリア | ◎(2年次編入可) | IELTS 7.0(W6.5) または OET B(W C+) | 看護短大卒+日本の正看資格で2年次編入可。入学時点でIELTS 7.0必須が主流。 |
ニュージーランド | ✖︎(編入不可) | IELTS OA6.5(各6.0以上) | 看護短大卒は原則1年次入学。大学により単位一部認定も。 |
アメリカ | △(極めて限定) | 州や大学により異なる: IELTS 6.5〜7.0 または TOEFL iBT 83〜100 | LPN-to-RNや一部コミカレ経由のみ。RN-to-BSNは州の評価次第 |
カナダ | ◯(可能な大学あり) | IELTS OA6.5(各6.0以上) | TRUなどのIEN向けBachelorコース、一部単位認定あり |
イギリス | ✖︎(編入不可) | 大学によって異なるが、 IELTS 6.5〜7.0程度が一般的 | 看護学位取得は1年次からが原則。 |
この方法の魅力は、卒業さえしてしまえば、看護師登録から永住権までスムーズにつながりやすい点です。
また、書き換えルートで必要なCBTやOSCEといった試験が免除されることも多く、大きな負担軽減になります。
ただし、費用面の負担は大きく、学費と生活費で年間600万円以上、合計で1200~1800万円近い出費となる可能性があります。
最も編入がしやすいのはオーストラリアで、二年次からの編入が可能です。アメリカやカナダは州によって制度が異なりますが、編入できる大学も稀にありますが個別審査が必要です。
一方、ニュージーランドとイギリスは原則として一年次からの入学となるため、再度3年間通う必要があります。
また、どの国でも入学には高い英語力が求められます。せっかくIELTS 6.5までスコアを取得したにも関わらず、「書き換えルートではなく大学に入り直すべきかどうか」は、目的や状況を踏まえて慎重に検討する必要があるでしょう。
最後に
以上が、短大・専門卒の看護師の方が、海外で働くための「学士」の取得方法についての解説でした。
金銭的に余裕がある場合は、大学に入学し、用意されたルートに沿って進むのがもっともシンプルかもしれません。
ただ、個人的には「すでに身につけている知識を、英語でもう一度学び直す必要が本当にあるのか?」という疑問もあります。
まずは、看護師免許の書き換えルートについても、しっかりと検討してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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