カナダで正看護師になるために必要な5つのステップ
「海外で働きたい」と希望する人にとって最も人気の高いカナダ。そんなカナダで正看護師になるためにはどんなステップが必要なのかをまとめました。
Index
カナダで正看護師になる方法
カナダで看護師として働くためには、以下の5つのステップが必要になります:
- NNASへ書類提出
- 英語資格の取得
- 看護協会へ申請
- 看護協会指定のテスト受験
- NCLEX-RNの受験
この中で最もハードルが高いのが2・4・5の試験対策です。
基礎的な英語力はもちろんのこと、大量の医療英語をインプットしていくことが必要になります。これがめちゃくちゃキツイ。
仮に大学受験でちょっと英語を学習した程度の場合、最低でも1〜3年程度は対策に時間がかかることを覚悟しておきましょう。ただ正直に言うと、それでも受かるか分かりません。
試験対策が難航する場合は、カナダの看護学校やEAPというカレッジ進学コースへの入学を検討して下さい。そこでプログラムを修了することで、「2. 英語資格の取得」及び「*4. 看護協会指定のテスト受験」が免除になります。
* プログラムや取得できた単位によっては免除されない場合があるので注意
それでは、各ステップを詳しく紹介します。
1. NNASに申請
まず初めにNational Nursing Assessment Service(以下「NNAS」)へ書類の提出をします。ログインしてメールアドレス登録後、Application Formを入力します。
入力後、以下の4点を提出します:
- 顔写真付き身分証明書のコピー(二種類)
- 看護学校関係書類
- 看護免許証
- 就労関係書類
身分証明書は2種類提出が必要です。1つはパスポートや運転免許証。2つ目は政府が発行したものが良いでしょう。いずれも行政書士や弁護士等の「公証」が必要になることに注意して下さい。
NNASは英語かフランス語以外の言語で書かれている書類を受け付けていないため、書類は全て事前に翻訳する必要があります。翻訳は学校などの機関や認定された翻訳家、またはNNASの有料サービスを活用します。また、翻訳を依頼したところから直接NNASに書類を送付する必要があるので注意してください。
看護学校の関係書類は、基本的に学校が記入し送付します。また、修了した看護プログラムの詳細についても提出が求められるので、シラバスを英語に訳す必要もあります。(これがめちゃくちゃ大変)
看護免許証の英文は厚生労働省に申請することで、割とすぐに終わります。
就労関係の書類は、職場の上司にサインをもらい直接NNASに送付してください。
2. 英語資格の取得(IELTS / CELBAN)
当然のことながら、海外で働くためには英語で十分なコミュニケーションが取れるということを証明する必要があります。
カナダでは以下のいずれかの英語試験で基準を満たす必要があります:
試験 | IELTS – Academic Module | CELBAN |
必要スコア | – Speaking 7 – Listening 7.5 – Reading 6.5 – Writing 7 – Overall 7.0 | – Speaking 8 – Listening 10 – Reading 8 – Writing 7 |
ウェブサイト | www.ielts.org | www.celbancentre.ca |
IELTSは海外進学などで必要になる世界基準の英語学力試験です。ペーパー試験とコンピュータ試験の二種類の受験方法があります。スピーキング試験が対面形式なことが特徴です。
CELBANはカナダ特有の看護に関わる英語力を評価する試験です。受験はコンピュータ試験のみ。トピックが「看護」に限定されているため背景知識を応用できることがメリットの1つです。
テストスコアの併合は認められていないので、上記の必要スコアを一回の試験で全てクリアすることが求められます。
また、テスト結果の有効期限が結果を受け取ってから6ヶ月以内になっていることも注意してください。
どちらの試験がオススメ?
難易度の観点からみると、CELBANの方が合格確率が高いと考えられます。
IELTSはトピックが幅広いため、知らない内容とあたる可能性が高い点。ライティング7.0の取得が(特に非ネイティブにとって)鬼のように難しいためです。
しかし、CELBANはマイナーな試験のため対策教材が手に入りません。そのため、最初はIELTSを軸に英語の基礎力や読解力、コミュニケーション力を底上げしてからCELBANの対策に移行していくことが最も効率が良いと考えられます。
もし英語資格が取得できない場合は?
繰り返しになりますが、テスト対策は長丁場です。ゼロから始めると1〜3年程度は勉強が必要なことを覚悟して下さい。
「仕事しながら勉強を3年間続けるのはちょっと…」
そう思った方のために、一つ抜け道をご紹介します。それはブリッジングコースを活用するという方法です。
ブリッジングコースとは、 英語試験の代わりに1〜2年程度の教育プログラムに参加することで試験を免除されるプログラムです。圧倒的なメリットは、本来提出する英語試験が免除されること。そして、看護協会指定のテストも免除されることです。(これはめちゃめちゃありがたい)
ブリジッジングコースを提供している一般的な大学は以下の4校です:
学校名 | Conestoga College | Fanshawe College | Langara College | OMNI College |
入学要件 | IELTS 6.5 or TOEFL 88 | IELTS 7.0 or TOEFL 92 | IELTS6.5 or TOEFL88 | IELTS 6.0 |
EAP入学要件 | IELTS 5.5 | なし | なし | なし |
入学要件を満たせない場合は、付属校の英語コース(EAP)で一定期間英語プログラムを受講することによって試験が免除されます。
上記の中でOMNI Collegeだけは看護に特化した学校です。12ヶ月から18ヶ月のプログラムを受講することで試験が免除されます。(オススメ!)
専門卒の場合は?
カナダで正看護師として働くためには、基本的に4年生の大学で学位を取得している必要があります。そのため専門学校卒の場合は、学位を取得することが一般的には必要になります。
学位を取得する場合、以下の3つが選択としてあります:
- 日本の通信大学で学位取得
- カナダの大学で看護コースを修了
- (ブリティッシュコロンビア州のみ)OMNI Collegeでプログラムを修了
日本の通信大学で学位を取得する場合は、学位の取得と並行して仕事と英語学習を進めていく必要があります。学び直しつつ長期で英語対策をしていきたい人には向いているかもしれません。
カナダの大学が提供している看護コースは、先ほど紹介したブリッジングコースとは異なります。入学要件は厳しいですが、NNAS指定のテストが免除されます。そのため、入学さえしてしまえば後NCLEXをクリアすることで看護師への道に一気に近づきます。
OMNIカレッジの入学要件には学位が求められず、6年以内に2年以上の正規看護師としての勤務経験が求められるだけです。そのため、入学要件(IELTS 6.0以上)に達していれば、そのままプログラムを受講してNCLEXの対策のみに専念すればOKです。
3. 看護協会へ申請
トロントで勤務することを希望する場合は、College of Nurses of Ontario(以下「CNO」)にレポートを提出してください。
NNASの必要書類の提出が終わると、レポートが発行されます。それをBritish Columbia College of Nurse & Midwives(以下「BCCNM」)へ申請します。(バンクーバーの場合)
4. 看護協会指定のテスト受験
看護協会へ申請が済んだら、Nursing Community Assessment Service(以下「NCAS」)を受験します。
(バンクーバーの場合)NCASは以下の2種類のテストの受験が必要になります:
- Computer Based Assessment(CBA)
- Simulation Lab Assessment(SLA)
CBAは、看護師適性を調べるコンピュータ試験です。3時間で100問程度の質問に回答していきます。
SLAは実技試験でシナリオに沿った看護対応が評価されます。
NCASが終了すると、レポートが発行されます。結果によっては、補修として別途コースの受講が求められることがあります。
5. NCLEX
ここまで申請して(場合によっては補修を修了して)初めてNCLEXの受験資格を得ることができます。
NCLEXはコンピュータ試験で、75問から265問の問題が出題されます。回答者の正答率によって難易度や問題数が変わり、全体の72%以上の正答率で合格になります。
NCLEXに合格できたら看護協会に正規看護師としての登録が完了します。お疲れ様でした!
まとめ
カナダで正看護師になるためには、NNASに書類を提出して基準となる英語資格を取得する必要があります。NNASに提出書類は全て翻訳する必要がある点。申請者自身ではなく学校や職場などの第三者機関から直接送付する必要がある点に注意してください。
手続きは色々とややこしいですが、やっぱりネックになるのは英語の資格です。国内で対策する、もしくはカナダで特定のプログラムを受講する。いずれにせよ、1〜2年程度は時間の猶予を持って、気長に対策をしていくことが大切になります。
頑張ってください!
This Post Has 0 Comments