看護協会の申請で必要な英語資格「IELTS」とは
各国の看護協会に申請に必要な書類の一つに「英語力が十分であることを証明する資格」の提出が求められます。その中の一つが、今回ご紹介するIELTS(「アイエルツ」と呼びます)です。
今回の記事では、IELTSがどんな英語試験なのかをできる限り詳細にまとめていきたいと思います。よろしくお願い致します。
Index
看護師として働くために必要な「IELTS」とは
IELTSとは「International English Language Testing System」の略で、世界共通の英語能力試験です。
主に以下の用途で提出が求められます:
- 海外移住
- 海外就労(看護登録はこれに当たります)
- 海外留学
IELTSは看護協会への登録以外でも、大学に進学するための要件として世界的に認められている試験です。
看護協会に直接申請しないで大学のブリッジングコースに入学する場合や、看護学部に進学する際の要件としても必要になるので、海外で看護師として働くためには避けて通れない試験の一つと言えるでしょう。
IELTSの概要
以下にIELTSに関する基本的な概要をまとめおきます:
名称 | IELTS(International English Language Testing System) |
試験形態 | ① ペーパー試験(会場) ② コンピュータ試験(会場) ③ コンピュータ試験(自宅) |
用途 | ① 海外移住 ② 海外就労 ③ 海外留学(大学進学) |
受験料 | $240(約25,380円) |
受験方法 | 以下のいずれかの受験団体に申し込み: ① 日本英語検定協会 ② ブリティッシュ・カウンシル ③ IDP * いずれも同じテスト内容です |
スコア | 0 – 9.0(0.5刻み) |
IELTSは主催できる団体が複数あり、団体ごとに会場や受験特典が異なります。
試験内容は変わらないので、住んでいる地域から一番近い受験会場で試験を実施している団体で受験することをオススメします。試験は都心部であれば1年を通して毎週実施しています。
看護協会の申請で必要なスコアは「7.0 / 9.0」。英語の勉強を何もしていない状態で受験すると、大体「4.0 – 5.0」くらいのスコアになります。
IELTSの試験内容
IELTSの試験は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのセクションで構成されています。
以下の表は、各セクションの詳細をまとめたものです:
セクション | 試験時間 | 試験内容 |
リスニング | 30-40分 | ・パート1:会話形式 ・パート2:スピーチ形式 ・パート3:会話形式 ・パート4:レクチャー形式 *各10問ずつ出題(計40問) |
リーディング | 60分 | 3つのリーディング文章読解 *各13~14問(計40問) |
ライティング | 60分 | ・タスク1:視覚資料(図形・グラフなど)の描写問題 ・タスク2:エッセイ問題 |
スピーキング | 11-14分 | ・パート1:スモールトーク(日常的な質問に対する応答) ・パート2:スピーチ ・パート3:ディスカッション |
同様の英語試験「TOEFL」は全てコンピュータで受験する形式ですが、IELTSのスピーキングは対面で行います。
声質によってはコンピュータがうまく認識できず、スコアが伸びにくいということがある点。相手のリアクションを見ながら会話ができる点を考えると、若干ですが対策しやすいと思います。
IELTSの対策方法
IELTSの対策で最も重要なことは、基礎的なスキルを十分身につけてから演習問題を解き始める、ということです。
IELTSは大学受験の問題とは異なり、英語で「国語力」を評価するような試験です。文章の解釈や構造をしっかりと落とし込んでいかないと、過去問をいくら解いてもスコアが伸びません。この点に注意してください。
基礎的なスキルというのは、
- 語彙力(英検準1級程度)
- 文法力(大学受験に必要な全ての単元)
- 読解力(SVOCなどの分類)
- 発音
上記の4つです。
特に「3. 読解力(精読する力)」がないと、解釈が感覚的になるためスコアにブレが出やすくなります。
上記がある程度固まってきたら、過去問を中心に解いて応用力を身につけていきます。単に作業として時間を費やすのではなく、自分の中で腑に落ちるように学習内容を定着させるイメージで学習に取り組みましょう。
まとめ
上述の通り、IELTSは英語の「国語」試験のようなものです。文章をたくさん読んでいても国語の点数が伸びないのと同じように、しっかりと解釈を積み上げていくことがスコアアップにおいて非常に重要になります。
また、ゼロから学習を始める場合、最低でも2年程度は対策に必要だと見積もってください。
基礎から始める場合は、どんな単語帳でもいいので単語帳を1冊覚える。文法書(または文法の演習問題)を1冊取り組む。これらから学習をスタートしてみるといいと思います。
学習の道のりは長く険しいものになりますが、それを乗り越えた先にはたくさんの可能性が広がっているはずです。頑張ってください!
参考文献:
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