日本人が「マルタ」で正看護師として働く方法を解説
看護師として海外で働くことを考える際、多くの方がオーストラリアやイギリスなどの英語圏を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、地中海に浮かぶ小国マルタも、看護師にとって魅力的な選択肢の一つです。EU加盟国であり、年間300日以上が晴れという温暖な気候、そして比較的高待遇な看護師の労働環境が特徴です。
今回は、日本人看護師がマルタで正看護師として働くためのステップを詳しく解説していきます。
記事の内容は、以下のマルタ看護局のサイトの一次情報を参照にしています:
Index
正看護師登録の7ステップ
早速ですが、日本人看護士がマルタで正看護士登録をするためには、以下の7つの手順を踏みます:
- MQRICにて学歴審査
- 英語資格の取得
- Adaptation Courseの申請
- マルタ看護局に申請
- マルタ看護局との面接
- Adaptation Courseの受講
- 正看護師登録
意外と大変だな…と思われる方もいるかもしれません。実はこれでも、その他の英語圏での看護師登録と比べると、簡易的なステップになっています。
それぞれのステップを詳しく見ていきましょう:
MQRICにて学歴審査
最初のステップは、MQRICでの学歴証明になります。MQRICは、「Malta Qualifications Recognition Information Centre」の略で、マルタ国内で学歴や資格の認定を行う公式機関になります。
この機関により、MQF Level5の認定証明書を得る必要あります。 MQF Level 5は、Undergraduage Diploma or Under Graduate Certificateと表記されており、短大・専門卒の人でも申請が可能であるという意味です。
しかし、ここでマルタ看護師登録における最大の問題に直面します。それは、以下の要件の証明です。
「合計で4600時間、そのうち少なくとも1533時間の座学と、2300時間の臨床研修」
この証明が英語でできないと認定されないことがあります。学校の卒業証書や成績を送るだけでは認められないケースが多いのが実状です。
仮に証明できない場合は、マルタで一から看護師資格の取得をすることになります。
英語資格の取得
次に、マルタ看護局により指定されている英語資格を取得します。以下の2つの英語資格が認められています:
- IELTS OA6.0
- OET (RLWは300、Sは350)
IELTSは一般英語の英語試験、OETは医療トピックの英語試験になっています。詳しい試験の違いは、以下のブログを参照にしてください。
一般的には、IELTS OA6.0の方がOET C+よりも取得がしやすいと感じる方が多いです。
また、マルタで1年働くことにより、イギリスで看護師として働く際に求められる英語の資格試験が免除されます。
イギリスは、マルタよりも求められる英語の水準が高いですので、最終的にイギリスで働いてみたい方などには魅力的ではないでしょうか!
Adaptation Courseの申請
次に、Adaptation Courseの申請をします。Adaptation Courseとは、マルタで正看護師として働くための準備コースです。
日本で身につけた看護の知識を、英語で学び直します。また、ルールやしきたりは国により異なります。コースを受講することにより、自信を持ってマルタで働くことができます。
当コースの入学申請は国外からおこない、受講自体は現地で受けるものです。実は、このコースに入学するための条件が「2」の英語資格の取得となっています。
コースの申請が受理されると、学校からAcceptance Letter(入学証明書)が発行されます。入学証明書をもってして、マルタに入国するための学生ビザの申請が可能になります。
マルタ看護局に申請
Adaptation Courseの入学証明書が発行されると、マルタ看護局に正看護師登録の手続きを始めることが可能です。提出に必要な書類一覧です:
- 申請書
- 成績証明書
- 卒業証明書
- 出生証明書
- MQRICからの認定レター
- 英語資格のスコア証明書
- パスポート
- 履歴書
- 職務証明書
- 犯罪経歴証明書
- 推薦書
たくさんありますね。しかし、海外で看護師として働くにあたり、上記の書類はどこの国でも必要になります。一度準備をしておくことで、国間の移動も楽になります。
書類の準備は、全て揃えるのにおよそ2か月程度はかかります。あらかじめスケジュールに余裕を持って、準備に取り掛かりましょう。
マルタ看護局との面接
書類が受理されると、マルタ看護局との面接に進みます。面接と聞くと緊張しますが、目的としては以下の3点になります:
- IDチェック
- 過去の職歴について
- 英語力の確認
マルタ看護局のサイトでは、面接はface to faceと記載があります。対面での面接のようですが、マルタ国外にいる人は、オンラインでも実施をしてもらえたという情報も確認できました。
IELTS OA6.0相当の英語力があれば、ある程度は話すことは可能かと思います。自分の身の回りに関することや、過去の職歴については様々な質問に対応ができるように準備をしておきましょう。
Adaptation Courseの受講
面接に合格をした人は、Adaptation Courseの開始に合わせて、いよいよマルタに入国します。
Adaptation Courseは、3つの機関により提供されています。学校により開始の月は異なりますが、いずれの機関も2月と10月はスタート月として開講されています。
日本で4年制大学を卒業している人は、半年間の短期コースの受講が可能ですが、短大・専門卒の人は8か月コースの受講が必須です。
どの学校もワークプレイスメントがあり、各自に専属のスーパーバイザーがつきます。これがマルタでのコネクションとなり、そのまま実習先に就職する流れになります。
ちなみに、現地でこちらのコースを受講している間は、週20時間までの労働が可能です。コース終了後に、看護師登録をしてからフルタイム就労へ移行という流れになります。
正看護師登録
Adaptation Courseを修了した人から正看護師登録が可能になります。登録が完了すると、2年間の労働ビザが付与されます。
労働ビザがきれる1か月前に更新申請を行うことで、労働ビザの延長が可能になります。労働ビザの延長のためには、登録期間中マルタでフルタイムの職務に常についてることが条件になります。
マルタで5年間の実務経験を積むことにより、永住ビザの申請が可能になります。マルタでは、外国人労働者に対して45歳までビザの発行が可能となっています。
5年間働かないと永住ビザが取れないということを考慮すると、39歳の間にマルタ入りしてAdaptation Courseを受講し、40歳になる前に就労ビザを取得し働き始めない限り、永住権の申請は難しいということです。
最後に
以上が、マルタで正看護師として働く方法の解説でした。いかがだったでしょうか?
マルタでの看護師登録の道のりは、決して簡単ではありません。しかし、各ステップが明確で、特にAdaptation Courseでは実践的な研修と就職へのサポートが充実しています。
EU加盟国という立地を活かしたキャリアの可能性や、家族帯同の機会もあり、長期的なキャリアプランを描きやすい環境と言えるでしょう。
また、平均年収も€44,813 (日本円でおよそ740万円)と、その他の英語圏にも引けを取らない待遇です。
とりあえず海外で看護師として働きたいが、英語力にさほど自信がない…。そういった方の最初の一歩として、マルタは非常に魅力的な選択肢です。
マルタ以外の選択肢も考慮したい…。そんな方は、以下の記事を読んでみてください。いずれもNursing Overseaが運営しているSOLO IELTS TOEFLの記事です。
- シンガポールで看護師になる方法と給与を解説
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最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。何かご質問などあればお気軽にご連絡ください。
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